2015年12月14日月曜日

Abel Tasman Coast Track -2- (21/11/2013)

2日目は、朝イチの干潮をねらって7時前にHutを出発です。本日も、晴天なり。
Hutから一山越えたところに広がるTorrent Bayは、干潮時にはほとんど水が干上がり、10分ちょっとで横切ってしまうことが可能です。これを、大回りしていくと2時間かかるという…。もちろん、季節によって、日によって面白いですよね。まさに、self buildingなハイキング。
所々、ちょっと満ちてきたところはジャブジャブ渡りながら、貝殻で埋め尽くされた干潟を闊歩。
NZで山歩きを始めてから、こうして水たまりを突き進むことが快感になりつつあります(笑)。

そしてなんと、干潟の先に別荘地出現!おそらくここへは道路(車道)は通っていないはず。 Trackを歩いてくるか、船で入り江につけるかしかないと思われます。住むにもアクセスにも不便、あるのは鬱蒼とした亜熱帯林と広大な空と海の背景と鳥のさえずりのBGM。。。きっと、本当の贅沢を知る人たちなのでしょう。その、お金と時間と心のゆとりがうらやましい限りです。。。
コンコンと流れるあまりに透き通った小川、地上43mの吊り橋、次々に開ける美しいビーチ…。歩み進める程に変わりゆく風景は、トランパーを飽きさせません。この辺が、人気ルートたる所以なんででしょうね。
いくつもの後ろ髪ひかれる風景を後に残しながら進んでいくと、眼下におしゃれな人工物発見。あとから調べてみると、Awaroa Lodgeという4つ星ホテルでした。大自然に囲まれた贅沢な時間を、新鮮な季節の野菜と海の幸とともに…的なコンセプトのロッジ。結婚式なんかもできるようです。(もちろん徒歩かボートでのアクセスしかありません)時間はたんまりあったので、寄ってみてもよかったのですが、行き帰りで結構なアップダウンがありそうだったのと、見るからに高級そうな佇まいにヒヨってそれ以上近づくのをやめました。こちとらどーせビンボーとらんぱーですよー、と心の中で毒づきながら…(笑)。
 
最後は、ほぼ海中に沈んだルートをじゃぶじゃぶ進んで、本日の宿Awaroa Hutに到着。このコースを踏破するにはハイキング用サンダルが必須アイテムですね。道しるべのために、途中いくつかオレンジの反射板がたっています。(次の目印があまりに遠すぎて見つからないこともしばしばありましたが…。)
この日の行程は19.8kmの7時間コース。(間のBarkBayというところで1泊挟む行程も王道ですが、そこはすっ飛ばすことにしました) さすがに出発が早かったので、途中小1時間の昼寝休憩を挟んだのに14時に着いてしまいました。まだまだ歩けそうな気分でしたが、この先は干潮にならないと進めないルート。陸を行く迂回路もないのでここで足止めです。三々五々到着するトランパーとおしゃべりしたり、本を読んだり、うとうとしてみたり。。。テレビもラジオもない、ガスも電気もない、(あるのは雨水をためた水道だけ)にも関わらず大いに満ち足りた時間が流れます。
 
着いた時にはHut前に遠浅の海が広がっていて(↓左)、レンジャーのおじちゃんに、さぁ早く水着に着替えて泳いでこんかい!!と何度もけしかけられましたが、その数時間後にはすっかり干上がってこの通り(↓右)。

2015年12月10日木曜日

Abel Tasman Coast Track -1- (20/11/2013)

「abel tasman national park」の画像検索結果Great Walks 5つ目!!
その名の通り海岸線をめぐるこのトラックは、Great Walksの中でも1,2を争う人気コース。このコースを含むエイベル・タズマン国立公園は、NZ国内で訪問者の最も多い国立公園と言われています。その人気の秘密が、透明度の高い青い海と、白砂の海岸、そしてぎりぎりまで迫りくる多様な植物群。次から次へと息をのむ美しい風景が目に飛び込んでくる、変化に飛んだコースです。足で巡るだけでなく、シーカヤックで数日かけて海上をのんびりめぐることもできるし(むしろこちらの方が人気アクティビティかも)、ウォータータクシーを利用して美しい海岸だけを愉しみに来る高齢の方なんかもいらっしゃいます。
シーカヤック1942年に設立されたエイベル・タズマン国立公園の名前は、ヨーロッパ人として初めてNZを発見したオランダ人の航海者アベル・タスマン(英語読みでエイベル・タズマン)に由来します。1642年12月、彼は現在の国立公園の北東にあるゴールデン・ベイ付近に上陸しようとしましたが、地元のマオリと折り合いが付かず上陸に失敗。しかし、ヨーロッパ人として初めてNZを発見した彼の名誉を称えて、300周年を記念して国立公園に制定されました。


私たちは、もちろん最初から最後まで歩きます。(正直シーカヤックと迷ったとこもあるんですが、あまりにも初心者すぎにつき安全を優先。)このトラックも、スタートとゴールが別地点のone wayコースなので、車はバッパーに置かせてもらい、Takakaからバスを使います。この辺の手配はEmiにやってもらってしまったのでもはや記憶が曖昧。朝方、TakakaのiSiteから結構大きめのバンで出発して、寝ている間にMarahauに着いてしまったような気がするんだけど、今ネットで調べる限りそんなルートを走るバスはない…。手前のMotuekaで乗り換えたっけかなぁ。。まぁ、細かいことはよろしかろ。
距離:54.4㎞ 標高差:600m 行程:3泊4日

このコース、3~5日で歩くのが定石と紹介されているんですが、所要日数にこれだけ幅がある理由は、満潮時に通れなくなるルートがあるため。1日の干満のタイミングで、うまくすり抜けられたり足止めを食ったりするわけです。なので、スケジューリングの際に潮の干満時刻をきちんと調べてHutを手配しなきゃいけません。
私たちの初日の予定はAnchorage Hutまでの12.4㎞、約4時間。時間的に余裕があるので、出発前に海を見渡せるおしゃれなカフェで腹ごしらえ。
文明の味に後ろ髪ひかれながら、ドデカいバックパックを担ぎ上げてスタートです。Marahauの町から、さわりだけ歩いてみようという人も多いようで、明らかに軽装備、サンダルの人までちらほら歩いています。さすが1番人気Great Walk、初っ端からfunny & breath takingな風景の連続です。
干潮時には砂浜となる遠浅の海の上にかかる橋を渡っていくと、置石で作った絵やメッセージがあちこちに。こんなほっこりするいたずら書きだったら、welcomeですよね。トラックは山に入ったり出たりしながら、視界が開ける度にコバルトブルーの海が新鮮な感激をくれます。透き通った海の上を、カヤッカーがのんびり進み、時折 白い砂浜に船をあげてはまたのんびりとしているのが見えます。やはりこのトラックの醍醐味は、カヤックでこそ味わえるのかもしれません。うらやましいなぁと思いつつも、照りつける太陽を優しく遮る緑の中も、それはそれで捨てがたかったり…。
岬のように海に張り出す小山をいくつか越えて、少し広いビーチに降りてみました。Apple Tree Bayという何ともかわいらしい名前の入り江です。みんな思い思いにランチをしたり寝転がったり…。NelsonやMotueraから高速船で乗り付けていらっしゃったおばあちゃま達もいらっしゃいます。足腰に自信がなくても、この絶景を拝むことができる。近代文明とお金は使いようです。

にしても、欧米人たちは惜しげもなく肌を露出していやがりますが…。ここの紫外線は尋常じゃありません。あんな格好で歩いたら、こちとら地肌でサンタクロースになれるくらいには真っ赤になっちまいます。(実際、グローブとシャツの間でくっきりついた時計焼けの跡が半年消えませんでした。。)とは言いつつ、スパッツとアンダーシャツで肌を隠してる自分の方がコッパズカシクなるくらいに開放的な世界なのですよ。。視界の8割が、”青”と形容される色で埋め尽くされる心地よい感覚。が、ひとくちに青といっても こうも違う。視覚と言葉の曖昧さを実感。。。
ここでシルバー・ファーンについてご紹介。謂わずと知れたラグビーAll Blacksのシンボルとして、Kiwiと並ぶNZのシンボルです。しかしなぜ、数あるシダ植物の中でシルバー・ファーンをAll Blacksは胸につけているのか。それは、シルバー・ファーンが「戦いの道しるべ」であり、「前に進むことの象徴」であるためです。シルバー・ファーンは葉の裏側が銀色を帯びており、この部分が暗いところでも月光を反射して光ります。大昔、マオリ戦士たちが夜戦いに行く時には、このシルバー・ファーンを地面において道しるべにしました。銀色に光る葉の先のとがった方が進むべき方向を示し、最後尾のマオリ戦士は、自分が通る際にシルバー・ファーンを裏返す。すると裏返したシルバー・ファーンは当然光らず、自分達がどちらの方向へ行ったのかを敵に知られずに済むという仕掛け。シルバー・ファーンは、昔からマオリ戦士の間で、「Go foward」の象徴であったのです。現在でも、All Blacksをはじめ、NZのあらゆるスポーツにおいて、代表ユニフォームにシルバー・ファーンがあしらわれているのは、そういう由来からなのです。
このTrack沿いにも、多くのシルバー・ファーンが自生し、気持ちの良い木陰を提供してくれていました。

Apple Tree Bayから2時間、いくつもの峠と入り江をゆっくり登ったり下ったりしながら進み、すがすがしい景色の連続の中、ちょっと強烈すぎる太陽光線の他には大きなストレスもなく、本日のお宿Anchorage Hutに到着。 前年度に建て替えられたばかりのHutは、ちょっとしたコテージの雰囲気。トイレもきれいだし、なんたって目の前が白砂のビーチという贅沢な環境。私たちは下段のベッドを確保できましたが、最終的にはほぼ満床状態。近くのキャンプサイトにも、所狭しとテントが立ち並び(どこぞの学校か、ボーイスカウト的な団体が来ていたようです)、人気のTrackであることを実感しました。
夕飯までの腹空かしに、Hutの裏山を超えた先のTe Pukatea Bayまで往復小1時間のお散歩へ。そこそこの登りですが、荷物がないので楽勝です。Anchorage Hutの賑わいと裏腹の静かな三日月形の入り江。どこぞから、ポルコ・ロッソが舞い降りてきそうです。 はぁ、こんなに気持ちよくっていいんだろうか。。。
マッシュポテトとトマトシチュー?みたいなNZトランパー御用達インスタントディナーを済ませ、暗くなるまで『草枕』読書タイム…