2014年2月1日土曜日

Great Week ⑥ - Kaikoura to Picton -

カイコウラは、マオリ語で”クレイフィッシュ(イセエビ)の食事”という意味を持つ港町。カイコウラ半島の沖には水深2000~3500mほどのヒカランギ海溝があり、寒流と暖流が交差するこの海溝付近の豊富なプランクトンや魚介類を求めて鯨やイルカ、オットセイなどが集まります。これら海の動物達と遊ぶことのできる場所として、国内外から年間100万人以上の観光客が訪れる場所です。
ってことで、私たちもSwim with Dolphinというアクティビティに参加してきました。やや雲行きの怪しい空模様の中、朝8時半にオフィス集合。イルカに1頭も会えなかったら返金アリなどの説明を聞き、ウェットスーツに着替えてバスに乗り込み、港からボートで出航☆途中、アルバトロスツアーのボート付近を通りがかり、ダニーデンであんなに苦労して観察したロイヤルアルバトロスをかなり近距離から目撃するというラッキーなシーンも。。。
そして30分ほど進んだところで、スタッフからシュノーケル装着の指示が飛び、船尾から海に入るとォ…すぐ目の前を次々とイルカが通り過ぎていくではありませんか!興奮しすぎて何度もシュノーケルから海水を吸い込みながら(笑)、それでもクルクルと泳ぎ回る愛くるしい姿に時を忘れます。私たちをからかうように、予想外の角度から予想外のスピードでやってくる彼らの姿を写真におさめるのは至難の業です。。
 この辺りで観ることのできるイルカは、ダスキードルフィン(和名:ハラジロカマイルカ)という種類。体長2m弱で、背面は濃いグレー、腹部はその名の通り真っ白で、側面に入った白いラインが可愛らしい印象をキリリと引き締めています。チリ、アルゼンチン、南アフリカなど、南半球の近海に群れを作って生息しており、今のところ絶滅の恐れはないとされています。カイコウラの町は、イルカやクジラを観光資源として大いに活用する傍ら、その保護活動にも早くから力を入れており、エコツーリズムの理想形とも形容されています。このツアーも、一度の航行で海に入れる時間と回数が決められており、時間になると笛が鳴ってボートに戻され、次のポイントに移動してまた潜るという繰り返しです。波酔いされてしまった繊細な先輩お二人を差し置いて、ホスト役のはずの私は毎回率先して海に入り最後にボートに戻っては、120%楽しんでしまいました(^^; 日が差し始めた帰路の途中も、ボートに寄り添うように泳いだり、海面上に高く宙返りを繰り返したり、極めつけは数えきれないほどの大群で出てきてくれたりと、サービス精神旺盛なイルカたちに大満足のツアーでした。



ひとまず宿に戻り、洗濯を回しながら長谷川さんのお土産のそうめんを頂きます。いやー、NZの大味に慣れすぎた舌と胃袋にしみわたる優しい味でした♡ 朝から海で泳いで、昼にそうめん。。何だか、夏休みの小学生みたいな気分です。



そして、午後はヘリでホエールウォッチングに出かけます。(この贅沢っぷりは”大人の”夏休みならではですね。)意気揚々とオフィスに行くと、なかなかイケメンのお兄ちゃん2人がカウンターにもたれ、何やら物言いたげな様子で私たちを出迎えてくれています。何かと思ったら、”ここんとこ、全然鯨が見れてないんだよねー”とのこと。この場でキャンセルしてもokと提案してきました。たとえ鯨が見えなくても、もちろんその責任は彼らにはないわけですが、どうやらこの日の午前中のお客さんも鯨が見れずにかなりご立腹されていたようで、その対応に辟易してしまったご様子。素直というか、商売っ気が足りないというか…。しかし、これをキャンセルすると私たちの午後の予定もポッカリ空いてしまうし、、、ということで、協議の結果、半ば強引に佐々木さんを引っ張り込み、3人以上ならホエールウォッチングの半額以下になるシーニックフライトをチョイス。
体重測定後(!)、お二人にとっては初体験、私にとっても人生2度目のヘリに乗り込みます。飛ぶ前から何だかんだとテンション上がります(笑)。そして、ヘリ特有のフワっという一瞬の浮遊感の後、一気に高度を上げてみるみる間に景色は広がっていき、すっかり澄み切った青空に映える青い海、そして緑豊かなカイコウラ半島を眼下に一望。こうしていつもと違う視点で景色を見てみると、その爽快感もさることながら、普段いかに物事を一面的にしかとらえていないかを実感したりして、面白いですね。20分程度でしたが、束の間の非現実感に浸ることができました☆
空中散歩のあとは、空から見た場所を足で歩きます。カイコウラ半島の先端部分には、ニュージーランド・ファーシール(アシカ)のコロニーが点在しているというので、スーパーで仕入れたビールを片手に(…片手にしてたのは長谷川さんと私だけですけど・笑)、出かけてきました。駐車場から、やや急な坂を上って丘の上に出てからは、ほとんどフラットなウォークウェイになっています。海風に吹かれながら30分ほど歩いたのち、今度は海岸線へと降り、満ちてくる潮を心配しつつもコロニーを目指します。次々と変化する地形で遊びながら、びっくりするほど近くで驚くほどリラックスしているアシカ達をゆっくり観察。あまりに可愛らしい寝顔にこちらもうっとり。。。

盛り沢山の1日を終えて、次の日はいよいよお別れの地、ピクトンへ向かいます。
途中、ニュージーランド・ファーシールの繁殖地のひとつであるOhau Streamというポイントに立ち寄りました。 繁殖期になると、ファーシールの母親たちが淡水の川を遡り、滝壺付近で子供を産んで育てるというめずらしい場所です。外敵がいない、強い波がなく泳ぎを覚えるのに適している、などの理由があるんでしょうが、アシカを見るのに森の中を歩いて行くというのは、何だか違和感があります。しかしまあ、考えたら多摩川に出現して話題になったアザラシもいましたよね。歩き始めてすぐに、ちらほらとアシカのベビーたちの姿が…。いやー、何と可愛らしいこと。。。
そこからは、まっすぐにピクトンまで北上。南島から北島へのフェリーが出航する港町です。本当だったら、別れを惜しむ大切な時間になるはずだった…んですが、何と私がカイコウラのユースに財布を置き忘れてきたことが判明。とんぼ返りする私たちを、お二人に見送って頂くという何とも締まらないお別れになってしまいました。。。すいません。。。
1週間は本当にあっという間で、でもよくよく思い返すととても濃厚な時間で、幸せな時間でした。遠い所を遥々、本当に本当にありがとうございました☆

2014年1月21日火曜日

Great Week ⑤ - Bad Day in Rakaia -

まったくタイムリーでないブログですいません。。連日30℃越えというNZとまったく異なる環境ですが、相変わらずアクティブにインドネシアを満喫中です。

では、NZ旅行の続き行きます。…とは言え、できればあまり思い出したくない日のお話ですが。

よく晴れたテカポの町を出発し、快適なドライブ…と言いたいところですが、相変わらず回転数1000回以下になるとカタカタと音を立てる不機嫌なエンジンを騙し騙し、クライストチャーチの先にあるアカロアという町を目指す、300㎞弱の神経すり減るドライブです。まぁ、それでも最初は調子もよく(というか前日までと同等のコンディションで)、わずかに遠回りとなるシーニックルートを選んで走る余裕もあったりしたんですが、半分を過ぎたあたりでアクセルの踏み始めにエンジンがわずかに空回りするような感覚が出現。あー、これはマズイ…と直感で判断、何か起きた時にも対応しやすいようにとハイウェイ1号線へ向けて早々に軌道修正を試み、そこからはエンジンの回転数を落としすぎず上げすぎず、細心の注意を払っての運転となります。こういう時は、交通量の少ないまっすぐなNZの道路がとてもありがたいですが、さすがに町に近くなるにつれて車も少しずつ増えだし…。そして、もうすぐそこが1号線!という所まで来たとき、前方に踏切と大きなカーブが!! 前の車に追突するわけにもいかないので、祈るような気持ちでブレーキを踏み、カーブの先で再びアクセルを踏み込むとぉ……プスプスプスー。まさに、エンスト状態で減速していき、路肩に車を進ませるのがやっと。ボンネットを開けてみると、エンジンカバーの一部が溶けだしている模様…! そのまま2度とエンジンがかかることはなく、再びロードサービスのAAのお世話になり、工場へとレッカー移動される事態に。さらに運の悪いことにこの日は日曜日で、十中八九廃車だろうと言われつつも、きちんとした点検は明日でなければできないとのこと。何だか生殺し状態…。先輩方にはもう本当に申し訳ないですが、この日はここにスタックです。。。

車が止まったこの町の名はRakaia。この日の目的地アカロアはおろか、クライストチャーチよりも手前の全く知らない場所での立ち往生となりましたが、小さな町にも何らかの宿泊施設があるのがNZのよいところ。町の情報センターで教えてもらったホリデーパーク(モーテルとキャンプグラウンドが一体化したような格安巨大宿泊施設)へ、さし当りの荷物を持って大移動です。値段の割に快適そうな部屋で、頂いた非常食を駆使しての夕ご飯。どんな時でも、やっぱり美味しいご飯は美味しい♡そして、こんな時はもう飲むっきゃない(笑)。

そして次の日は、最後通告が出るまでラカイアの町をプチ散策。人口1000人ちょっとの小さな町ですが、河に遡上してくる鮭を目当てに多くの釣り人が訪れるんだそうです。インフォメーションセンターにはドデカい鮭のモニュメントが。。。カフェで時間を潰し、びっくりするほどきれいな川沿いを散歩して、修理工場で結論を待ちます。NZ時間でのんびり仕事をするメカニックをせっついて、結局コスト的に修理>廃車となることが確実となったので、潔くここでBigHornとお別れ! 過ぎたことをあれこれ思い悩んで時間をロスするより、次です、次。
初めてマイカーを持って、旅の途中で動かなくなってレッカー移動して結局廃車。。。日本でも未経験の数々を、異国の地でしてしまいました。NZを出るときに売却して ある程度の元を取るつもりだったので、経済的な打撃と、もちろん精神的なショックはありましたが、それでもくよくよしてる暇もなく、次の手を考えて動かなきゃ状況下だったのは、むしろ好都合だったかもしれません。
ってことで、車に乱雑に積んでいた荷物を大急ぎで整理して、バスでクライストチャーチへ移動。あまりの荷物の多さに、バスドライバーのおばちゃんにフルーツピッキングのバイトでもしてたの?なんて言われちゃったのはちょっとウケましたね。
そのままレンタカーを手配して、とりあえず旅を続行することに。1日ロスしてしまったので、アカロアはパスしてそのままカイコウラまで180㎞北上です。
2日間、予想外のハプニングに柔軟に対応してくださった先輩方に感謝、感謝です。

2014年1月15日水曜日

ご報告☆

更新がまったく追いついていなくて恐縮ですが、ここでひとつご報告。

明日の朝、NZを出国します。
はい、突然ですみません。
が、日本に帰る前にインドネシアを3週間ほど旅行していきます。
帰国は2/5☆
実家に戻る前に東京・横浜近辺をウロウロしていくかもしれません。
お忙しい中とは存じますが、つまらん土産話でも聞いてやろうというお優しい方がいらっしゃいましたら、ぜひご飯でも♡

明日からのネット環境がどうなるか分からないので、ますます無沙汰になるかもしれませんが、勝山は元気に旅を続けておりますのでご心配なく。

では。

2014年1月10日金曜日

Great Week ④ - to Lake Tekapo -

Hooker Valley Track (往復約4時間)

クック山に登るのは無理でも、その雄姿を少しでも近くで見たいという私たちのようなわがままな人のために、周辺にはいくつかのトレッキングルートが整備されていますが、フッカーバレーは中でも人気のトラックです。フッカー川沿いに登っていく片道4km程度のトラックですが、変化にとんだ景色とクック山の雄大な姿を間近に望むことができます。マイコさん達の出発が午後だったので、車の調子が悪いというのに、Max5人の座席+トランクにオマルちゃんを乗せ、半日トレッキングへ向かいました。
ここでラッキーなことがひとつ。スチュワート島に一緒に行ったYumikoさんがマウントクックでガイドの仕事を始めていたんですが、そのお友達の新人さんが練習がてらガイドをさせてほしいと申し出てくれて、本来なら途中までの往復で$90かかるところを厚かましくも無料でお願いしてしまいました。このあたりの地形が形成されたなりゆき、生えている植物、アバランチの歴史など、私の知識だけでは解説しきれないことまでしっかり説明して頂き、とても勉強になりました。知らないことを吸収するのは、いくつになっても楽しいもんです。

話は少し逸れますが、その場所のことを“知る”ことは、その場所と近くなることだなと最近思ったりします。その場所が“知らないどこか”でなくなれば、そこで起きたことは他人事ではなくなる。そこに住む人たちはTVの中の登場人物ではなく、同じ空気を吸った、もしかしたら道端で笑顔を交わしたかもしれない血の通った隣人になる。知れば知るほど、愛着もわく。そうやって世界との距離をみんなが少しずつ縮めれば、地球上に存在する悲しい出来事の大半はなくせるんじゃないか…。なーんて、甘ちゃんな考えですかね。
丁寧な解説を聞きながら、高山植物あり、氷河湖あり、つり橋ありの変化に富んだトラックをLOTR旅の仲間風に進んでいくと、少しずつ雲が切れ、正面のMt. Cookが大きく迫ってきます。私たちが歩いた11月は、マウントクックリリーという花が丁度見ごろの時期で、そこかしこに白い花を咲かせていました。NZ固有種の高山植物で、わざわざこれを見にやってくる日本人観光客もいるとかいないとか。実はキンポウゲ科の花なんですが、葉がスイレン(ウォーターリリー)に似ているので初めにこうネーミングされ、定着してしまったんだそうです。キンポウゲの中では最大級とのことで、正式名称はジャイアント・バターカップ。こっちのネーミングセンスもどうよ、って感じですけどね。 

そしてトラック終点のフッカー湖のほとりで記念撮影。地形や気流などの関係でこの辺りの気象はとても不安定。Mt.Cookがこのようにほぼ全貌を見せてくれるのは、かなりラッキーなことのようです。いやー、よかったです☆
 

往路をゆっくりと行った分、復路はやや速足で進み、マイコさん達のバス時間に丁度良い帰宅。あっという間の4日間を終え、寂しいことにここでお別れになってしまうお二人とランチをしながら、別れを惜しみます。。お別れは悲しいけど、そんな時でもピザは美味しい(笑)。
お二人を見送ったのち、騙し騙しのBigHornドライブ再開です。相変わらず不吉な音を立てるエンジン音に肝を冷やしつつ、目の前に広がるあまりの絶景には感動しきりです。来る時に薄曇りの中で見た風景とは大違いです。自然は、天候によって一気にその表情を変えますね。ミラーレイクが大好物なシホさんのテンションの上がりっぷりがすごいです(笑)。
この日のお宿はLakeTekapoのユース。以前のブログにも登場した町なので、解説は割愛。シーズンに入ったばかりの色とりどりのルピナスが湖畔を彩り、とても華やかですが、こちらの心境はハラハラと落ち着きません。というのも、曇り出した空がこの夜予定していた星空観測ツアーに黄色信号を灯し始めたため。。。雲の合間から見事な夕焼けは拝めたものの、夕食を終えるころには空のほとんどは雲に覆われてしまう事態に。ツアーオフィスに着くと、今なら全額返金でキャンセル可とのこと。会社側がそんなことを言うってことは、ほとんど天気回復の見込みはないんだろうなと思いつつも、これをしなければこの町に寄った意味がなくなってしまう!! ってことで、とりあえず参加することに。

防寒コートを受け取り、前回訪れた時は昼に歩いて登ったMt. John頂上にある天文台へバスで向かいます。さすが、町をあげて星空を世界遺産にしようとしているだけあり、街灯も皆無の山道。さらに、途中からは観測の邪魔にならないよう車幅灯だけで進んでいくというスリリングなドライブです。まずは天文台併設のカフェに入り、暗闇の中でホットチョコレートを配られ、スライドによる説明を受けます。プチ天体マニアの私にはそう真新しくもなかったのと(何様!!)、外の天気が気になってたのとで、よく内容を覚えてません(笑)。ゆーっくりホットチョコレートを飲んでも厚い雲が消え去る様子はなく…、星空の代わりに天体望遠鏡を見学することに。
満天の星空を心待ちにしていらしたお二人にはかなり申し訳ないんですが、実は私としてはこちらも大分テンションの上がる話でして…。この観測所の研究には、名古屋大学はじめ日本の研究機関も携わっていて、NZ最大の口径1.8mの反射望遠鏡MOAは、日本製。この望遠鏡を使い、通常は観測することができない暗い天体を探索することを目的とした日本・ニュージーランド共同プロジェクトが進行中です。
太陽や星、銀河など、大きな質量を持った天体の周りでは、その大きな重力によって空間が歪み、そこを通過する光は曲がって進むことが知られています(重力マイクロレンズ効果)。遠方の星(光源星)の光が、前面を通過する星(レンズ天体)の重力レンズ効果で曲げられて集光され、一時的に明るく見える現象です。つまり、星が通常より一瞬明るさを増すところを観測できれば、その瞬間にその星と地球の間に大きな質量を持つ天体が存在したということが証明されるわけです。…という話を、ガイドさんと研究員の名大大学院生がものすごーくかいつまんで解説してくれましたが、多分 興奮していたのは私だけだったんじゃないかと(笑)。

2014年1月9日木曜日

Great Week ③ - Mt. Cook -

この日から、個人旅行でおいでの長谷川さん、シホさんと移動をご一緒します。(車のキャパの関係で、マイコさん達にはツアー参加をお願いしました)4人分の荷物をBigHornに詰め込んで、一路北上。マウント・クックへと向かいます。途中、NZの風物詩・羊の大移動を運よく目撃したり、鮭の養殖場で大迫力のエサやりを体験したり、まさに鏡のような湖に映る絵のような景色を撮影したり(シホさん、必死すぎますやろ…笑)。こんな道草も車ならではですね。Pukaki湖沿いに入る辺りからドライバーは長谷川さんにチェンジ。薄曇りの中ではありましたがNZの大自然ドライブをお楽しみ頂きました☆

マイコさんたちより早めに到着してしまったので、途中で仕入れた食材とスモークサーモンで青空クッキング。絶品サンドウィッチをランチに頂きました。
 
 
 

Mt. CookNZ最高峰で標高は3740m。富士山より少し低いくらいの山ですが、緯度の低さとこの辺りの気候から1年中頂上付近の雪が消えることはなく、山自体の形状なども相まって、その登頂の難しさはエベレストにも並ぶと言われています。プロフェッショナルのみが挑戦を許されるこの山に多くの観光客が集まる理由には、クック山を含めた山々が作る景色の壮大さに加え、氷河を見ることができるという大きな魅力が挙げられます。氷河の全景を眺めるにはヘリで空からアクセスするしかないんですが、ベラボウに高いので、湖からボートで近づき氷河の末端を観察するに留めました。。。

Tasman Glacier
私たちが泊まるユースホステルとは段違いの、マイコさん達がお泊りの高級ホテル前からスタートするツアー。迎えのバスが、乗りなれたスキー場送迎バスだったことに、無駄にテンションが上がります。20分ほどバスに揺られ、その後さらに20分ほど歩いて氷河末端部の湖に到着。私たちのボートのガイドは、笑顔がかわいいシャイな男。またまた名前を忘れたので仮にRoyということで。ちなみにRoyには日本人の彼女がいて、来月には来日して彼女の両親に会うのに日本語を3つくらいしか知らない、、、というプライベート情報のリーク元はバスドライバー(笑)

このタズマン氷河はNZに数ある氷河の中で最長のもで、長さ約27㎞、幅4㎞、最大深度600mという規模。その末端部分が溶け出してできたのがこの湖です。氷河が削り出したRock flowerが溶け出しているので、グレーに濁ったような色をしています。穏やかな湖面を、Royのジェントルな漕艇で進み、氷河から脱落して浮遊している氷塊に近づきます。遠くからだと薄汚い雪の塊に見えますが、氷を削ってみるとこの通り完璧に透き通ったロックアイスです。大昔に降った雪が、降り続ける雪の重みでゆっくりと凝縮されて氷になり、重力に従ってゆっくりと山肌を下りここまでやってきて、今私の手の中に…。氷の中に閉じ込められた小さな気泡は 何万年前の空気かと思うと、ロマンを感じちゃいます。
大小さまざまな氷塊(小さく見えても、水面下には見えている9倍の氷があるんですけどね)にいくつか近づき、Royの丁寧の説明を聞き、時々ジェットボートならではのスピード感も楽しんだりして、氷河の末端が見える場所へ。。。と思ったら、安全上の規則により、数百m手前までしか近づけないんだとか。彼方に見える氷の壁は、実は20m以上もあるらしいですが、ここからではあまりその迫力は感じられません。しかしまあ、崩れ落ちる氷河に巻き込まれてボートが転覆でもした日には、キンキンの氷河湖にドボンでリアルタイタニックですからね。復路はボートをかっ飛ばして爽快感満点☆さらに、“このロックアイスでお酒飲んだらおいしいだろうねー”と何気なく言った私の言葉を覚えていてくれたRoyが、こっそり削り出しておいてくれた氷をお土産にくれて、ちょっと感動!(…とか言いながら、結局ユースの冷凍庫に置き忘れてきちゃったんですけど)何だかんだと値段以上に楽しませて頂いたように思います。
 
そしてここからハプニングだらけの旅行の幕開けです。
クルーズ終了後、ホテルまでエミさんに迎えに来てもらったところ、車のエンジン音が何だかおかしい…。さらに、夕食時にマイコさん達を迎えに行こうとしたら キーが回らない。。ハンドルロックかと思われましたが 西日差し込むサウナ状態の車内で30分以上粘っても解除不能…。ホテルのスタッフやバスのドライバーさん達にもヘルプを求めたんですがどうにもならず、日本でいうJAF的なAAというロードサービスをコール。メカニックをよこしてくれることになりましたが、何せ人里離れた国立公園の奥深くなので1時間以上かかるだろうとのこと。でも車のそばに待機していろと言われ、最高に美しい夕景のマウントクックと裏腹に鬱々とした気持ちで待つこと1時間。20km越えの10年モノですから、道中でガタがくるのはある程度覚悟していたことでしたが、何も先輩たちがいらしているこのタイミングで…と思うと、悔しいやら申し訳ないやら…。やっとメカニックが到着し、キー付近を解体して何とかエンジンはかかるようになりましたが、最後までエンジンを切るとまた回らなくなってしまうのでその手前で留めておくよう言われ、さらにおかしなエンジン音に関しては、いつ止まってもおかしくない、早急な点検が必要とのアドバイス。ただし、エンジン交換が必要になる可能性も高く、その場合はそれなりの時間と金額がかかるだろうとのこと。
烙印を押されたようなその言葉に、あー 終わった。。と、ともすればペシャンコになりそうでしたが、有難いことにそうならなかったのは、最悪な1時間を一緒にいて下さった長谷川さんと、その間で美味しいカレーを作って手を付けずに待っていて下さったお三方のおかげです。あとは、ヘコんでる場合じゃなかったというのも…。ここから最も近い町Twizelはとても小さくてバスなどの公共交通手段を捕まえるのは至難の業。先輩方の旅行日程にも間に合わなくなってしまうので、そこで修理するというのは現実問題無理。となれば、騙し騙しクライストチャーチまで行くしか選択肢はない。よし、気合だー!!