クック山に登るのは無理でも、その雄姿を少しでも近くで見たいという私たちのようなわがままな人のために、周辺にはいくつかのトレッキングルートが整備されていますが、フッカーバレーは中でも人気のトラックです。フッカー川沿いに登っていく片道4km程度のトラックですが、変化にとんだ景色とクック山の雄大な姿を間近に望むことができます。マイコさん達の出発が午後だったので、車の調子が悪いというのに、Max5人の座席+トランクにオマルちゃんを乗せ、半日トレッキングへ向かいました。
ここでラッキーなことがひとつ。スチュワート島に一緒に行ったYumikoさんがマウントクックでガイドの仕事を始めていたんですが、そのお友達の新人さんが練習がてらガイドをさせてほしいと申し出てくれて、本来なら途中までの往復で$90かかるところを厚かましくも無料でお願いしてしまいました。このあたりの地形が形成されたなりゆき、生えている植物、アバランチの歴史など、私の知識だけでは解説しきれないことまでしっかり説明して頂き、とても勉強になりました。知らないことを吸収するのは、いくつになっても楽しいもんです。
話は少し逸れますが、その場所のことを“知る”ことは、その場所と近くなることだなと最近思ったりします。その場所が“知らないどこか”でなくなれば、そこで起きたことは他人事ではなくなる。そこに住む人たちはTVの中の登場人物ではなく、同じ空気を吸った、もしかしたら道端で笑顔を交わしたかもしれない血の通った隣人になる。知れば知るほど、愛着もわく。そうやって世界との距離をみんなが少しずつ縮めれば、地球上に存在する悲しい出来事の大半はなくせるんじゃないか…。なーんて、甘ちゃんな考えですかね。
丁寧な解説を聞きながら、高山植物あり、氷河湖あり、つり橋ありの変化に富んだトラックをLOTR旅の仲間風に進んでいくと、少しずつ雲が切れ、正面のMt. Cookが大きく迫ってきます。私たちが歩いた11月は、マウントクックリリーという花が丁度見ごろの時期で、そこかしこに白い花を咲かせていました。NZ固有種の高山植物で、わざわざこれを見にやってくる日本人観光客もいるとかいないとか。実はキンポウゲ科の花なんですが、葉がスイレン(ウォーターリリー)に似ているので初めにこうネーミングされ、定着してしまったんだそうです。キンポウゲの中では最大級とのことで、正式名称はジャイアント・バターカップ。こっちのネーミングセンスもどうよ、って感じですけどね。
そしてトラック終点のフッカー湖のほとりで記念撮影。地形や気流などの関係でこの辺りの気象はとても不安定。Mt.Cookがこのようにほぼ全貌を見せてくれるのは、かなりラッキーなことのようです。いやー、よかったです☆
往路をゆっくりと行った分、復路はやや速足で進み、マイコさん達のバス時間に丁度良い帰宅。あっという間の4日間を終え、寂しいことにここでお別れになってしまうお二人とランチをしながら、別れを惜しみます。。お別れは悲しいけど、そんな時でもピザは美味しい(笑)。
お二人を見送ったのち、騙し騙しのBigHornドライブ再開です。相変わらず不吉な音を立てるエンジン音に肝を冷やしつつ、目の前に広がるあまりの絶景には感動しきりです。来る時に薄曇りの中で見た風景とは大違いです。自然は、天候によって一気にその表情を変えますね。ミラーレイクが大好物なシホさんのテンションの上がりっぷりがすごいです(笑)。
この日のお宿はLakeTekapoのユース。以前のブログにも登場した町なので、解説は割愛。シーズンに入ったばかりの色とりどりのルピナスが湖畔を彩り、とても華やかですが、こちらの心境はハラハラと落ち着きません。というのも、曇り出した空がこの夜予定していた星空観測ツアーに黄色信号を灯し始めたため。。。雲の合間から見事な夕焼けは拝めたものの、夕食を終えるころには空のほとんどは雲に覆われてしまう事態に。ツアーオフィスに着くと、今なら全額返金でキャンセル可とのこと。会社側がそんなことを言うってことは、ほとんど天気回復の見込みはないんだろうなと思いつつも、これをしなければこの町に寄った意味がなくなってしまう!! ってことで、とりあえず参加することに。
防寒コートを受け取り、前回訪れた時は昼に歩いて登ったMt. John頂上にある天文台へバスで向かいます。さすが、町をあげて星空を世界遺産にしようとしているだけあり、街灯も皆無の山道。さらに、途中からは観測の邪魔にならないよう車幅灯だけで進んでいくというスリリングなドライブです。まずは天文台併設のカフェに入り、暗闇の中でホットチョコレートを配られ、スライドによる説明を受けます。プチ天体マニアの私にはそう真新しくもなかったのと(何様!!)、外の天気が気になってたのとで、よく内容を覚えてません(笑)。ゆーっくりホットチョコレートを飲んでも厚い雲が消え去る様子はなく…、星空の代わりに天体望遠鏡を見学することに。
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