2013年11月18日月曜日

Hump Ridge Track -1-(10/21)

試練のケプラートラックからテアナウの町に戻り、さあ次はMilford Trackだー!!と勢い込んでいたんですが、何日待っても、何度DOCに通い詰めても、雪崩危険度の赤マークが消えることはなく、トラック入り口までのボートも欠航のまま…。このままダラダラ待つのも時間がもったいないという話になり、予定を変更。別のトラックに挑戦することにしました。ターゲットは、海あり山ありのHump Ridge Trackというトランピングコース。テアナウから80㎞ほど南へ下った先にあるTuatapereトゥアタペレという町からのアクセスです。

距離:53㎞ 標高差:1002m 行程:23


トラック入り口の看板にあった一言。
『写真以外とっちゃいけない、
足跡以外残しちゃいけない』
カッコイイです☆
Tuatapereは人口600人ほどの小さな村ですが、村おこしの目玉として約3億円をかけて200111月にオープンさせたのがこのトラック。これまでのGreatWalksとは少し色が異なり、全長53㎞のうち20㎞弱はDOCではなく村営で管理されているという、ちょっと変わったトラックです。夏季シーズンになると、$175払って電気・ガス・水洗トイレ完備の朝食付きロッジに宿泊しながらトランピングを楽しむことができ、さらに$450払うと前日のTuatapere宿泊が付き、さらに最初の900mほどの登りをヘリで連れて行ってくれる上にホットシャワーも浴びられちゃうという、もはや山登りとは言えない()リッチな旅をお楽しみいただけます。ま、私たちとは無縁な話なので、もちろん冬季の$25ねらいでの挑戦です。

10/21 朝早く宿を発ち、一路南下。が、100㎞弱走ったからと言って大きく天気が変わるわけはなく、厚い雲からは大粒の雨が落ちてきます。しかも、詳細な地図を持ち合わせていなかったためトラックの駐車場を通り過ぎ、でこぼこのオフロードを30分ほどアドベンチャラスにドライブしてしまうというおまけつきのスタートになってしまいました。
 

Day1: Rarakau Car Park Port Craig Lodge 17km 
スタートが遅くなってしまったため、通常のルートとは逆回りをチョイス。初日の歩行距離は比較的短く、海岸線を進むアップダウンの少ないコースです。…が、多雨林の鬱蒼とした中を抜けた瞬間、100段ほどの階段が海岸まで延々と続き、これって最終日に上り返さなきゃいけないんだよなぁ…と、すでに内心溜息です。
海岸線は、思った通りの大波と霞がかった景色。それはそれでパワフルな自然を感じたりもします。砂浜を歩いたり、また少し山に入ったりを繰り返す道のりですが、潮が満ちてきて浜がなくなりそうな場所があったり、山に戻る道が非常に分かりにくかったりと、スリル満点。霧が立ち込めているせいか、森の中にも何だか独特の存在感が漂っています。途中にきちんと雨宿りできる場所もなく、大きな倒木の陰で細々とランチ。晴れていれば、さぞ気持ちの良い景色が広がっていることでしょう。。。が、岩に打ち付ける激しい波は嵐の日本海さながらです。
その後も、ぬかるみに足をとられ、不安定すぎるつり橋に閉口しながら歩き続け、5時間半でこの日の宿泊地、Port Craigに到着です。1920年代には、ニュージーランドで最大、最新の製材所があった場所ですが、今や無人の廃村です。ここに、Tuatapere村営の快適ロッジが建てられており、夏に$175払った人たちの宿泊場所になっています。が、私たちは昔学校だった建物を再利用した小さな小屋での1泊です。もちろん、ガスなし電気なしシャワーなし。しかも、私たちの他に宿泊者なし!仕方がないので自分で暖炉に火を起こし、濡れた服を乾かし、お湯を入れるだけのNZブランド即席フードを夕食に。味気ないと言えばそうかもですが、誕生日を迎えようという夜にこんな生活をしている自分が可笑しかったり、ちょっと頼もしく思えたり()

2013年11月2日土曜日

Kepler Track -3- (10/18、10/19)

Day3Iris Burn Hut Moturau Hut 16.2km 5-6hours
 
 

3日目の前半はIris Burnという川に沿って“緩やかに”下るルートです。Burnと言うと、燃え盛る炎のイメージですが、スコットランド英語で“小川”を指す意味合いもあるようで、その名の通りならここは小川のはず…なのですが、このところの雨雪がこの川の表情を大きく変貌させ、そこかしこで水のパワーを体感することになります。

はじめに小さな尾根を越え、そこからは新緑美しい多雨林の中を進みます。わずかに下っているはずですが、ほぼフラットに感じられる道です。歩きやすいと言えばそうなんですが、歩き進める内にあちこちで水路や川が決壊し、トラック上が大きな水たまりで覆われてしまっている箇所が出没しだします。
しばらく進むと、鬱蒼とした森が突然途切れ、1984年(エミの生まれ年)に起きたという大規模な地滑り跡に出ます。幅1㎞近くあるんじゃないかと思われるぽっかりとした空間で、どこぞの庭園を散策しているような気分になります。周囲にはそびえ立つ山々と、山肌を落ちていく幾筋もの滝...。庭園と呼ぶにはスケールがデカすぎますね。 
再び森の中にトラックは戻り、川幅も流れの強さもどんどん増していきます。と同時に、トラックの水浸しっぷりもグレードアップして、遂には橋を渡った先に道がなくて川、とか 川沿いのトラックが削られて欠落、などの場面に出くわすようになります。もはや靴が濡れるなんて言ってられず、バシャバシャ川に入り、腰までの草むらを迂回し、時には大きく尾根を越えての遠回り…。何ともアドベンチャラスなトランピングです。これでもGreat Walks??と目を疑いたくなりますが、この水の豊富さ故に、この豊かな森が築かれるんでしょうね。。
いくつもの障害と、私の膝痛によるペースダウンで、この日は5時間半という標準タイムでのゴール。お泊りは、マナポウリ湖を望むモトゥラウ・ハットです。
Day4Moturau Hut Kepler Track Car Park 15.5km 4-5hours
最終日は、出発地点の駐車場を目指すほぼフラットコース。ここを歩き切ってループコースが完成します。一晩休んで膝も大分回復。足元はまだぬかるんだ箇所もありますが、この辺りはテアナウやマナポウリの町からデイウォークで訪れる人も多いコースなので、整備も行き届き、十分に踏み固められた歩きやすいトラックになっています。景色も、鬱蒼とした多雨林から、鳥たちのパラダイスになっている湿原など、様々に表情を変えて飽きることがありません。お天気も、この4日間で最高の太陽が注ぐ絶好のコンディション。
軽快に進んで半分弱ほど行ったところで、お昼休憩。つり橋を渡った先のピクニックエリアにて。公共のトランスポートを頼めば、ここでトランピングを終えて町に帰るというオプションもあるんですが、もちろん私たちは自分たちの足でゴールを目指します。残り10㎞弱!!途中、昨日風に吹かれて飛んでいきそうだったドイツ人セバスチャンとばったり。なんと、ちゃっかりフランス人の女の子と手をつないで歩いているじゃあありませんか。彼女のほうは、スノーシュー&ピッケル持参で山に上がってきていたかなりの経験者。手をつないでいたのか、引っ張られていたのか…その辺りの詳細は不明ですね(笑)。
後半は、さすがに肩に食い込み始めたバックパックに閉口しつつも、total4時間半で駐車場に到着。全行程34日、雨・雪・風に翻弄された60㎞のトランピングが終了です!!

2013年11月1日金曜日

Kepler Track -2- (10/17)

Day2:Luxmore Hut Iris Burn Hut 14.6km 5-6hours

この日が、私の人生の中で最も思い出深い日の内の1つとして刻まれることになるなんて、朝起きた時には思ってもみませんでした。
雨・雪はギリギリ止んでいましたが、空にはどんよりと厚い雲。風も相変わらず強い様子。7時台に出かけていく何人かを見送りながら、とりあえずの朝食。午後にかけて天気が回復傾向、という前日の天気予報を信じて、まずは身軽にHut近くの洞窟へ探検に行くことに。荷物がないと、こうも動きやすいものか…と実感します。10分ほど歩いたところにぽっかりと口を開けているのが、Luxmore Cave。入り口付近こそ木の階段がついていますが、そのあとはまったくの自然洞窟、もちろん照明もありません。奥行きは、1㎞以上に及ぶとか。ヘッドライトを頼りに、そこそこの水量のある流れを避けながら慎重に進みます。すぐに天井が低くなり、中腰からしゃがみながらの前進。いやー、この姿勢が膝にこたえることったら。。。なので私は入って20mほどで断念して地上へ。エミさんは一体どこまで進んだのやら30分ほど帰ってこず、心配になって様子を見に戻りかけたところで真っ暗闇から揺れる光が…。これから15㎞歩こうってのに、大したもんです。
Hutに戻って、軽く掃除をしたのち(シーズン以外は管理人がいないので、宿泊者の誰かがやるという素敵な暗黙の了解があるのです)1045分アタック開始。遅すぎると指摘されそうですが、ゆっくりスタートには理由が2つ。1つは、午後になるほど天気が回復する可能性があったこと。もう一つは、雪道歩行が予想されるコースだったので、なるべく多くの人に踏み跡をつけてもらおうという魂胆からです。
 

わずかに雲は薄くなって、眼下のテアナウ湖にもうっすらと日が差し込んでいます。が、登り始めから前日を上回る強風!!早々に、私のバックパックカバーが吹き飛ばされる事態に。そして、前方からは早朝にスタートしていたWesternの女の子2人が引き返してきます。聞くと、稜線上はcrazy windyな上にdeep snowだとのこと。うーん、Bad news…。でもまぁ、行けるところまで行ってみましょう。緩やかな登りが終わり、尾根を登り始めたところで、チャイニーズの女の子2人組を追い越します。この子たちは、驚くことにこれがNZ初めてのマルチデイ・トランピングなんだとか。いやー、それでよく、この時期のケプラートラックを選んだものです。(ってエラそうに言うほど、私も経験豊富なわけではないですけど。)高度が上がると、やはりトラックにも雪がかぶり始めます。概ね靴が埋まる程度ですが、所々膝まですっぽりな箇所も。雪に隠れてトラックも辿りにくく、前に進んだ人たちの足跡を頼りに足場の悪い尾根をひたすら登ります。その間もひっきりなしに吹き付ける横風に、ポールを突き刺してやっとバランスを保持することもしばしば。。。

この日に越えなければならない2つの高所のうち1つ目を超えると、さすがの景観が目に飛び込みます。が、いよいよ風の通り道に入ったのか、もはや恐怖を通り越して笑えてくるほどの強風にさらされます。格闘している相手が登り坂なのか、強風なのか、雪なのか、はたまた鼻水なのか()、わけがわからなくなってきます。
エミの帽子もどこぞへ飛ばされて、稜線上に設置された1つ目のshelterに到着したのが12時半。歩き始めて2時間弱とは思えないほどの濃厚な時間。ここまで来たら、引き返すという選択肢はないに等しく、もはや前進あるのみ。三角屋根にたたきつける強風が轟音を立てる中、20分ほどでサンドイッチのランチを済ませます。あまり休みすぎても体が冷えるので、勇気とやる気を振り絞ってケプラートラックの最高地点へ向け強風に身をさらします。
本来なら、ここからのコースはこのトラックのハイライト。細い稜線を進みながら、両側に広がる雄大な風景を楽しめる場所のはず…が、この日に限っては横からたたきつける風、足元はか細いトラックに滑りやすい雪というコンディション。せっかくの風景も漏らすまいと周囲に目を配りつつ、神経は最大限足元に集中です。予報通り少しずつ雲は薄くなり、写真だけ見ると“なんだ、いい天気じゃない”と言われそうですが、風は写真に写らない!!たまに座り込んでは草を掴んで耐える、立てるタイミングを見計らってじりじりと進む。この繰り返しです。
やっとのことでトラック最高地点(1400m)を超え、14:50 2つ目のシェルターに逃げ込みます。ここで、TeAnauの宿でも一緒だったドイツ人セバスチャンに追い付きました。“Hey, girls. よく頑張ったね!”と労われつつの小休止。が、休んだからと言って風が収束傾向に向かう保証はなく、セバスチャンが視界に入る範囲で進もうと10分ほどで戦闘再開です。見ると、シェルターでは余裕を見せていた彼も、強風と悪戦苦闘の様子。私同様バックパックカバーも飛ばされ、ひょろ長い体をダブルポールで支えては、横風にフラつきながらの進んでいく様は何だか後ろから見ていてちょっと愉快です。タッパがある分風の影響も大きいのか、むしろ私たちが距離を詰めて追い抜いてしまうという…。
 15:20 やっとこさ森林限界まで下りてきて、木の陰に隠れて久々に風の弱い中を歩きます。さっきまで横風に耐えすぎていたので、最初の内は体が右方向に傾いていきそうになります。木々には、Old Man’s Beard(おじいさんの髭)、日本名も長猿尾枷という面白いネーミングの地衣植物が寄生して、森をより幻想的な雰囲気にしています。空気のきれいな霧がかった森に生息する植物で、空気中の水分だけで光合成して生きています。

途中、崖崩れ跡や倒木を避けて通らなければならない箇所がいくつかありますが、それでもこれまでよりは大分進みやすい道です。十分に高度を下げてからは、このところの雨・雪で増水して激流となった川沿いに進み、Hut到着が16:50。このコンディションの中を6時間で歩き切ったのは、私たち的には金賞モンです。前日のHutで一緒だったメンバーが、一堂に驚いた様子で、でも温かく迎えてくれました。明らかにビギナーといった雰囲気の私たちがこのコースを超えてきたことが、信じられなかったご様子。が、上にはさらに上がいて、最初のほうで私たちがパスしたチャイニーズの女の子2人が、その3時間ほどあとにHutに到着!レンタルギア、初めての本格トランピングで、大金星☆…まあ、ひとつ間違えれば何か起きてしまっていたかもしれないと思うと結果論な気もしますが、ともかく無事に越えられてよかったです。

いやー、この日はよく眠れました☆