2013年11月30日土曜日

Hump Ridge Track -3- (10/23)

Day3:Okaka Lodge → Rarakau Car Park 19km

海からの風邪が吹き上げて、若干底冷えする夜を寝袋にくるまって越え、朝にはこの景色!!
いやー、これだからつらくても山に登りたくなるんですねぇ。。これ以上きれいにはできないだろうな、という空気に包まれて迎える朝。肌寒くとも、最高の気分です。

出発前に、ロッジから少し登った丘の上のループトラックへ。巨大な石灰岩が作り出す不思議な雰囲気の山頂をグルっと一回りして、360°のパノラマが楽しめる、このトラック最大の見どころです。少しでも天気の良い日にここに来るために、逆回りをチョイスした部分も大きいです。絶景ポイントには展望デッキが設えてあり、Keaが飛び交う中を この景色独り占め♡
ロッジに戻って荷造りをして、薄曇りの中を出発。前日とは正反対に、荒々しい山肌をひたすらに下っていきます。登り重視で作られているせいか階段は少なく、木の根を足掛かりにするような幅狭なステップが続きます。もうそれこそ、永遠に続くかと思われるほど…。いい加減、膝がガクガクしてきたと思う頃にやっと道はなだらかになり、頂上からだと近くに見えた海まで4時間半かかってようやく到着(ランチ休憩含む)。

途中のクリークに架かる橋の上で見つけた給水ポイント。欄干にロープでバケツをつないだだけというあまりのNZクオリティーに笑えます。試しに汲んでみた水は、周囲の植物の成分が溶け込んだのか赤色を帯びていて、あまり積極的に飲んでみたい見てくれではありませんでしたが・・・。きっと、定期的な水質調査位はなされている…はず。
最後に弱った膝にダメ押しの急階段を登り、山あり海あり、歴史的遺物あり、天候も目まぐるしく変化した盛りだくさんの3日間が終了。1時間半のドライブでテアナウの町に戻り、温かいシャワーと心地よいベッドというこの上ない文明の利器に癒される夜を満喫です。

2013年11月29日金曜日

Hump Ridge Track -2- (10/22)

Day2Port Craig Lodge Okaka Lodge 19
出発前に、小屋の周りをぐるっと散策。製材の町として栄えていたころの名残が、そこかしこに見受けられますが、まだその頃から100年も経っていないなんてにわかには信じがたいほどの打ち捨てられっぷりです。
31歳最初の太陽を海の向こから迎えながら、半径20㎞圏内に私たち以外誰もいないという現状の不思議さを思ったり…。誰が見ていても見ていなくても、世界は美しいなあとちょっと感慨にふけってみたり…。
自分の周りにくっついている余分なものを順番に取り払って、生きるために必要なものだけを選び取ったら、実は60リットルのバックパックに入りきるくらいしかなくて(それでもきっと、余計なものをまだ持ち歩いている気もする)、毎日“衣食住”の心配だけして、自然にだけは有り余るほど十分に囲まれたシンプルな生活。。。本当の贅沢っていうのは、こういうことなのかもしれません。

昨日とは変わって太陽の光が降り注ぐ中、朝8時出発。この日の前半も、地図上では海岸線を行くアップダウンの少ないコースですが、海が視界に入る箇所はごく所々。材木を運ぶために敷かれた鉄道の跡をひたすらに辿っていきます。道幅も広く、一見歩きやすそうに見えるトラックなんですが、いやはや、そこかしこにトラップが…!前日まで降り続けていた雨のせいで、靴が埋まりこむに十分な泥道。ひどい所はトラックの横幅いっぱいの水たまりが10mほど続く箇所も…。

が、時折森が開けたと思うと高さ数十mのviaductが見えてきたりするのがこのコースの面白いところ。昔は列車も渡っていたシロモノですが、鉄製の列車を支えるには心もとない、木製の細っこい高架橋です。あまりに人と会わないので、眺めの良い橋の上でランチタイム☆

そして、いくつかの橋の中でも、Percy Burnという小川にかかるものはこのトラックのハイライトの一つで、私も楽しみにしていた場所。1923年に建てられた高さ36m長さ125mの橋は、トランピングルートとして未だ現役。その規模は木製の高架橋としては世界最大とも言われています。…が!!!何たることか、数か月前に安全性に問題アリとの診断を受け、現在はメンテナンスの真っ最中で渡ることができず…。ただでさえ、これから長~い登りが待っているというのに小川まで下って登るという しなくてもいい苦労を強いられるという。。。まあ、普段だったら見ることのない角度から橋を見られたということで、納得しようじゃありませんか。。
そして、やっとその泥道&高架橋のリフレインが終わったと思ったら、今度はひたすらの登り道。。前半は木の根を頼りに、後半はエンドレスの階段を使って、かなり直登に近い感じで800mを一気に登ります。通常とは反対周りをしているせいか、何となく登り客に優しくない感じの道の作り方です。


しかし、苦労して登った分の見返りは十分に!! 写真は、Luncheon Rockという もののけ姫のモロが座る台座のような、森から飛び出た岩からの眺めです。眼下には青い海。あいにく雲が多かったものの、そのせいか空がより近くに感じられて、それは気持ちの良い時間です。1日中でもここにいたいと思わせる景色でしたが、海から吹き抜ける風に業を煮やしたエミさんが早々に岩を下りてしまい、名残惜しくも早々におさらば。。。


 そこからさらに岩場を越え、森を抜け、うんざりするほど続く数百段の階段を登り、やっとこさ本日の山小屋Okaka Lodgeに到着です。さすがは村営の商業的ロッジ。清潔感あるかわいらしい建物です。2日ぶりに、ヘリコプターでここまで上がってきたという2人のリッチマンにお目見え。久々に、エミ以外の人と喋った感じがしましたね(笑)。夕食はお湯を注ぐだけの簡単ディナーでしたが、エミがワインの小瓶で誕生日をお祝いしてくれて、雪山以来、久々のアルコールonマウンテンでした。 

2013年11月18日月曜日

Hump Ridge Track -1-(10/21)

試練のケプラートラックからテアナウの町に戻り、さあ次はMilford Trackだー!!と勢い込んでいたんですが、何日待っても、何度DOCに通い詰めても、雪崩危険度の赤マークが消えることはなく、トラック入り口までのボートも欠航のまま…。このままダラダラ待つのも時間がもったいないという話になり、予定を変更。別のトラックに挑戦することにしました。ターゲットは、海あり山ありのHump Ridge Trackというトランピングコース。テアナウから80㎞ほど南へ下った先にあるTuatapereトゥアタペレという町からのアクセスです。

距離:53㎞ 標高差:1002m 行程:23


トラック入り口の看板にあった一言。
『写真以外とっちゃいけない、
足跡以外残しちゃいけない』
カッコイイです☆
Tuatapereは人口600人ほどの小さな村ですが、村おこしの目玉として約3億円をかけて200111月にオープンさせたのがこのトラック。これまでのGreatWalksとは少し色が異なり、全長53㎞のうち20㎞弱はDOCではなく村営で管理されているという、ちょっと変わったトラックです。夏季シーズンになると、$175払って電気・ガス・水洗トイレ完備の朝食付きロッジに宿泊しながらトランピングを楽しむことができ、さらに$450払うと前日のTuatapere宿泊が付き、さらに最初の900mほどの登りをヘリで連れて行ってくれる上にホットシャワーも浴びられちゃうという、もはや山登りとは言えない()リッチな旅をお楽しみいただけます。ま、私たちとは無縁な話なので、もちろん冬季の$25ねらいでの挑戦です。

10/21 朝早く宿を発ち、一路南下。が、100㎞弱走ったからと言って大きく天気が変わるわけはなく、厚い雲からは大粒の雨が落ちてきます。しかも、詳細な地図を持ち合わせていなかったためトラックの駐車場を通り過ぎ、でこぼこのオフロードを30分ほどアドベンチャラスにドライブしてしまうというおまけつきのスタートになってしまいました。
 

Day1: Rarakau Car Park Port Craig Lodge 17km 
スタートが遅くなってしまったため、通常のルートとは逆回りをチョイス。初日の歩行距離は比較的短く、海岸線を進むアップダウンの少ないコースです。…が、多雨林の鬱蒼とした中を抜けた瞬間、100段ほどの階段が海岸まで延々と続き、これって最終日に上り返さなきゃいけないんだよなぁ…と、すでに内心溜息です。
海岸線は、思った通りの大波と霞がかった景色。それはそれでパワフルな自然を感じたりもします。砂浜を歩いたり、また少し山に入ったりを繰り返す道のりですが、潮が満ちてきて浜がなくなりそうな場所があったり、山に戻る道が非常に分かりにくかったりと、スリル満点。霧が立ち込めているせいか、森の中にも何だか独特の存在感が漂っています。途中にきちんと雨宿りできる場所もなく、大きな倒木の陰で細々とランチ。晴れていれば、さぞ気持ちの良い景色が広がっていることでしょう。。。が、岩に打ち付ける激しい波は嵐の日本海さながらです。
その後も、ぬかるみに足をとられ、不安定すぎるつり橋に閉口しながら歩き続け、5時間半でこの日の宿泊地、Port Craigに到着です。1920年代には、ニュージーランドで最大、最新の製材所があった場所ですが、今や無人の廃村です。ここに、Tuatapere村営の快適ロッジが建てられており、夏に$175払った人たちの宿泊場所になっています。が、私たちは昔学校だった建物を再利用した小さな小屋での1泊です。もちろん、ガスなし電気なしシャワーなし。しかも、私たちの他に宿泊者なし!仕方がないので自分で暖炉に火を起こし、濡れた服を乾かし、お湯を入れるだけのNZブランド即席フードを夕食に。味気ないと言えばそうかもですが、誕生日を迎えようという夜にこんな生活をしている自分が可笑しかったり、ちょっと頼もしく思えたり()

2013年11月2日土曜日

Kepler Track -3- (10/18、10/19)

Day3Iris Burn Hut Moturau Hut 16.2km 5-6hours
 
 

3日目の前半はIris Burnという川に沿って“緩やかに”下るルートです。Burnと言うと、燃え盛る炎のイメージですが、スコットランド英語で“小川”を指す意味合いもあるようで、その名の通りならここは小川のはず…なのですが、このところの雨雪がこの川の表情を大きく変貌させ、そこかしこで水のパワーを体感することになります。

はじめに小さな尾根を越え、そこからは新緑美しい多雨林の中を進みます。わずかに下っているはずですが、ほぼフラットに感じられる道です。歩きやすいと言えばそうなんですが、歩き進める内にあちこちで水路や川が決壊し、トラック上が大きな水たまりで覆われてしまっている箇所が出没しだします。
しばらく進むと、鬱蒼とした森が突然途切れ、1984年(エミの生まれ年)に起きたという大規模な地滑り跡に出ます。幅1㎞近くあるんじゃないかと思われるぽっかりとした空間で、どこぞの庭園を散策しているような気分になります。周囲にはそびえ立つ山々と、山肌を落ちていく幾筋もの滝...。庭園と呼ぶにはスケールがデカすぎますね。 
再び森の中にトラックは戻り、川幅も流れの強さもどんどん増していきます。と同時に、トラックの水浸しっぷりもグレードアップして、遂には橋を渡った先に道がなくて川、とか 川沿いのトラックが削られて欠落、などの場面に出くわすようになります。もはや靴が濡れるなんて言ってられず、バシャバシャ川に入り、腰までの草むらを迂回し、時には大きく尾根を越えての遠回り…。何ともアドベンチャラスなトランピングです。これでもGreat Walks??と目を疑いたくなりますが、この水の豊富さ故に、この豊かな森が築かれるんでしょうね。。
いくつもの障害と、私の膝痛によるペースダウンで、この日は5時間半という標準タイムでのゴール。お泊りは、マナポウリ湖を望むモトゥラウ・ハットです。
Day4Moturau Hut Kepler Track Car Park 15.5km 4-5hours
最終日は、出発地点の駐車場を目指すほぼフラットコース。ここを歩き切ってループコースが完成します。一晩休んで膝も大分回復。足元はまだぬかるんだ箇所もありますが、この辺りはテアナウやマナポウリの町からデイウォークで訪れる人も多いコースなので、整備も行き届き、十分に踏み固められた歩きやすいトラックになっています。景色も、鬱蒼とした多雨林から、鳥たちのパラダイスになっている湿原など、様々に表情を変えて飽きることがありません。お天気も、この4日間で最高の太陽が注ぐ絶好のコンディション。
軽快に進んで半分弱ほど行ったところで、お昼休憩。つり橋を渡った先のピクニックエリアにて。公共のトランスポートを頼めば、ここでトランピングを終えて町に帰るというオプションもあるんですが、もちろん私たちは自分たちの足でゴールを目指します。残り10㎞弱!!途中、昨日風に吹かれて飛んでいきそうだったドイツ人セバスチャンとばったり。なんと、ちゃっかりフランス人の女の子と手をつないで歩いているじゃあありませんか。彼女のほうは、スノーシュー&ピッケル持参で山に上がってきていたかなりの経験者。手をつないでいたのか、引っ張られていたのか…その辺りの詳細は不明ですね(笑)。
後半は、さすがに肩に食い込み始めたバックパックに閉口しつつも、total4時間半で駐車場に到着。全行程34日、雨・雪・風に翻弄された60㎞のトランピングが終了です!!