2013年10月24日木曜日

Kepler Track -1- (10/16)

距離:60km 標高差:1231m 行程:34

ティアナウ湖と、その南に位置するマナポウリ湖の間にそびえる山々を巡る周回ルートです。湖岸の風景からブナ林を抜け森林限界の先の岩山まで、変化に富んだ風景を楽しめることと、ティアナウの町からのアクセスの良さから人気の高いGreat Walksですが、標高差だけならGreat Walksイチという、まま難コースの1つでもあります。
 
この辺りは元々雨の多い地域ですが、この時期は特に嵐のシーズンらしく、私たちもティアナウ入りしてから連日 大雨&大風&雷に見舞われ、ついには山に雪が被ってしまうという事態に。。。しかし、10/28からはトランピングシーズンに入り山小屋の宿泊費が跳ね上がってしまうので(1$1553)、何とか今のうちに攻めておきたい!!と、毎日DOCに通って天気図とにらめっこ。散々悩んだ挙句、エミと2人で“ダメなら引き返す”というスタンスで合意に至り、アタック当日朝8:30DOCオープンと同時に宿泊券を購入し、その足でトラックへ向かいました。

Day1Kepler Track car park Luxmore Hut 13.8㎞ 5-6hours
駐車場をスタートしてすぐに、ティアナウ湖から流れ出るWaiau河にかかるControl Gate(水門)が見え、そんな人工物のすぐ向こうが、もう世界遺産 Fiordland National Parkのエリアになります。 初めの6㎞弱は湖沿いのフラットなトラック。町から大して離れていないというのに、この巨木、そして視界いっぱいの緑。さすがNZ。なーんて感動も束の間、恐らくこの数日で雷に打たれたと思われる大木がトラックを完全に塞いでいる現場に遭遇。自然の力に感嘆しつつ、どうかこの4日間で雷雲が来ませんように…と切に祈った瞬間でした。


1時間ちょっとでBrod Bayという湖岸のキャンプサイトに到着。ここから本格的な登りが始まるので、ちょっとだけリュックを下して英気を養います。が、そんななけなしの英気なんてすぐに萎えさせるに十分なほど、この先のひたすらにジグザグ続いていく登りはキツかった。。。私は何を好き好んでこんなしんどいことをしているんだろう、なんて 自分の選択を呪いたくなります。エミは後ろから 余裕な雰囲気満々で悠々と登ってくるので、気が急きます。。それでも、森の木々の力強さや、途切れることのない鳥の声や、木々の合間から時々覗く湖面が少しずつ眼下へ降りていく様に励まされつつ、1歩ずつ歩を進めます。『歩いていればいつかたどり着く』これが山登りの単純明快な真理で、また1番の魅力だと私は思ってますが、この時も この言葉を呪文のように繰り返していました()

ふと木立が途切れたと思ったら、突如目の前に石灰岩の巨大な壁! わーい、と写真を撮っていたら、なんとカメラにSDカードを入れ忘れてきていることが判明。上がったテンションが一気にズドーンです。。しばらく岩壁づたいの細いトラックを辿り、急な階段で岩の上へ出たところでランチ休憩。小雨が降りだしていましたが、まあそんなに気なる程でもありません。ついでに、エミのSDカードを私のカメラに入れかえ(カメラの性能の問題で)、共用にしていただくことに。トホホ…。

気を取り直して、さらに登ります。この辺りから少しずつ、緑一色の世界に雪化粧が加わり出し、高度が上がっていることを感じます。小1時間ほど経ち、木々が小さくなってきたと思ったら、向こうに森林限界が見えてきました。ということはつまり、雨も風も遮るものが全くなくなるということ。ここでスキージャケットを着こみ、いよいよ裸山の上へ…。
もう、その瞬間でしたね。強風!そして雪!!正面から風を受けると息をするのも一苦労なほどの強烈さで、山の厳しい洗礼を受けます。が、テアナウ湖や周囲の山々を何とか望める程度には、幸い視界は生きていて、ちょっと気分は上がります。斜度も大分ゆるくなるので、それもかなり有難い。驚きだったのは、そんな中をランニングで下ってくる3人組のオジサンたち。にこやかにHi!とか言っちゃって…。もうすぐ、このケプラートラックを走破するという気違いじみた…シツレイ、チャレンジングな大会があるので、きっとその練習かと思われます。こちとら、亀の歩みですら苦しくて喘いでいるというのに…。そんなこんなで木道を覆う滑る雪と格闘しながら、40分ほどで本日の山小屋ラクスモア―ハットに到着です。(所要時間4時間10分。早っ!!

柔軟体操を入念にして、夕飯はマッシュルームペンネ(レトルトです)。温まるものが一番ですな。私たちの到着後、いよいよ雨交じりの雪が本降りになりましたが、その中を到着してくるグループもいて、この日の宿泊者は18名ほどに。みんなよくやりますわ。。。何人かは、暖炉のあるキッチンにバンクベッド(簡易寝台)のマットを引きずってきて寝ていたようでしたが、我々はNo暖房の部屋で寝袋にくるまり、おやすみなさい。

2013年10月20日日曜日

Te Anau Glowworm Caves (10/13)

ティアナウ湖Lake Te Anauは、面積342㎢とNZ2番目に大きな湖。その畔の町ティアナウは、規模こそ小さいものの 夏季になるとかなりのにぎわいを見せる町。というのも、この湖の西側に広がる26000㎢もの広大なエリアが、Te Wahipounamu(マオリ語で“ヒスイの産地”の意)としてユネスコ世界遺産に登録されている自然豊かな地域であり、そこへのアクセスゲートとして唯一の町なのです。

Te Anauとは、マオリ語のTe Ana-auに由来し、“雨のように水がほとばしる洞窟”を意味します。ってことで、ティアナウ初日は この名前の指す場所とされるツチボタル洞窟へ行くことにしました。

Te Anau Glowworm Caves
ティアナウ湖の西岸に位置する全長6.7㎞の洞窟。そのうちの、おそらく200mにも満たないであろう部分だけをRealJourneyという観光会社が1社独占でツアー案内してくれます。$70Rakiuraで大自然を闊歩してきた身には、商業的な臭いのプンプンするツアーですが…。これでしか行けないので我慢です。

タウン近くの桟橋から高速船に乗って対岸の洞窟まで渡り、そこからは10人程度の小グループに分かれてガイドさんにくっついて洞窟探検が始まります。はじめは徒歩で、最小限の光源のみが置かれた暗闇の中を(きちんと足場は作ってくれてあります)進みます。否が応でも冒険心をくすぐられてきます。12000年ほど前に形成されたというこの洞窟は、地質学上それほど古いものではなく、鍾乳石の形成はまだ始まったばかり。神秘的というよりは、豊富で激しい水流が起こす轟音がとどろくパワフルな空間です。ガイドさんが何やら大声で説明してますが、ほとんど聞こえやしません()。入り口付近から、ちらちらと青い光が見えてはいたんですが、本番はボートに乗り換えてから。完全にライトを消した空間の中を、ガイドさんがロープを手繰り寄せてボートを進ませていきます。隣の人の輪郭さえ分からない完全な闇と静寂。で、頭上には青い星空が…!! あるものは強く光り、あるものは明滅し、私の人生経験の中になかった幻想的な世界です。もちろんカメラ撮影は禁止なので、ネットからひっぱってきたイメージ映像でご勘弁を。
感動さめやらず洞窟入り口近くの小屋へ戻り、コーヒーのサービスを受けながらツチボタルのお勉強です。
ツチボタルなんてきれいな名前をつけてもらってますが、正式にはなんと“ヒカリキノコバエ”! 英語ではglow worm。オーストラリア東海岸やニュージーランドに分布する昆虫です。ハエです。青い光のもとはルシフェリンという物質で、大きく分類すれば蛍や深海魚などが起こす生物発光の源と一緒です。発光するのは幼虫の間(6か月~1)だけで、洞窟や洞穴などの天井に住み、濃厚な粘液の粒に覆われた2-15㎝の釣糸を多いときでは70本も垂らし、青い光に寄ってきた虫をからめ取って捕食します。空腹のときほど強い光を発しますが、エサが少ない時には隣り合うツチボタル通しで共食いすることもあるとか(そんな動画も見せられました。。)。ちなみに、成虫は口を持たず、交尾をして産卵を済ませると数日で死んでしまいます。 

わずか数時間でしたが、これはこれで非現実的な、楽しいひと時でした。
さて、次回はさらに非現実的ともいえる34日の山行のお話です☆

Invercargill → Te Anau (10/12)

 
バッパーのオーナー、スパーキーの愛するペット、兼収入源のウサギたち。つい3日前に生まれたばかりというBaby達も見せてもらいました。が、まだしわくちゃで、あんまりかわいくないですねぇ。生後3週間の子供たちは、もう文句なしでCute

この日は移動日ですが、その前にちょっとだけInvercargillを観光。
*サウスランド博物館*

町の中心にある広大なクイーンズパークという公園内にある博物館。マオリ達の漁や狩猟の様子、“南緯40度の荒海”として恐れられてきたこの辺りの海での航海や捕鯨の歴史に関する展示などを無料で見学できます。2005年にアンソニー・ホプキンス主演で公開された『世界最速のインディアン』という映画をご存知の方は…?その元ネタは、ここインバーカーギル出身の実在の人物、バート・マンローという男。バイクとスピードに恋した彼は、日々バイクの改造に勤しみ、1967年にその階級のスピード記録を更新するのですが、その彼の写真やバイクのレプリカ(?もしかしたら本物?)なども展示されています。
最大の見どころはトゥアタラ・ハウス。“恐竜の末裔”といわれるトカゲによく似た生物が展示されているエリアです。和名はその名もムカシトカゲ()。トカゲと名付けられ、姿もトカゲそのものですが、現存する狭義のトカゲ類とは全く異なる系統の爬虫類なんだそうで、驚くことに約2億年の間 本質的な進化をしていないといわれています。で、ここでは絶滅が懸念されているトゥアタラの保護・飼育が行われており、なんと御年111歳という(本当かよって気がムンムンですけど)Henry君がアイドル的存在で展示されています。粘ってみましたが、木の陰から一向にお出にならず。。。

Henry君。顔だけは見えましたが、
全身はこんな感じ。


*水道塔*
1889年に、市内への水道供給安定のために建設された塔。イスラム建築にも見えるその外観と、42.5mという結構な高さが、他に高い建物のないこの町の中でなかなか目立ってます。以前は、日曜祝日のみ塔の上まで登ることができたそうですが、建物の老朽化か、昨年から禁止されてしまったそうな。

見どころの少ない町なのでこれくらいしか行くところもなく、最後にスーパーに寄って食材を買い込み、ガソリンをいっぱいにして次なる目的地Te Anauへ。
 
出だしこそ、青空のもとの快適ドライブでしたが、徐々に雲行きが怪しくなったと思ったらワイパーが追い付かないほどの大雨、さらに霰(あられ)までも…!!NZは天気もダイナミックですな。このルート99は、Southern Scenic Routeとして景観の良さで知られたドライビングルートなんですが…。雨は時折小ぶりになっても荒れ狂う風は一向に収まらず、せっかくのビーチも台風中継かってくらいの荒波で、まぁ、面白いです()

The Clifden Suspension Bridge

ルート99が海沿いを離れ、北上してまもなく見えてきたのが、1896-1899年に建築されたという吊り橋で、長さは111.5m。車窓から見えたので寄ってみたら、鉄と石と木でできた、なかなか歴史を感じさせる橋でございました。

そんなこんなでTeAnauの町に到着。宿泊は、HolidayPark(規模の大きなモーテルのような宿泊施設。キャンピングカーなどで利用する人も多い。)の中のロッジ。シーズン前のディスカウントで、バス・トイレ付のきれいな部屋が2人で$57!

2013年10月15日火曜日

Ulva Island -Birds’ Sanctuary (10/11)

Stewart島のPaterson Inletに浮かぶ、長さ3.5㎞、260haほどの小さな島、ウルバ島1997年にネズミなどの天敵がいないことが宣言されてから、この島は鳥たちのサンクチュアリとして、本島で激減、あるいは絶滅してしまった鳥たちが手厚く保護されています。Stewart島でも十分に鳥の楽園だと感じましたが、こちらはさらに上を行きます。NZ固有種の植物群も、ほぼ手つかずで残されています。

定期便はありませんが、$2025程度でウォータータクシーを利用して往復することができます。ハーフムーン・ベイとは反対側の、ゴールデンベイという小さな船着場から出発です。片道10分ほどの距離ですが、そのタクシーも帰ってしまうので、迎えが来るまではこの無人島にいるのは私たちを含めて十数人のみ、というかなりわくわくするシチュエーションです。

島内にはトレッキングコースが整備されていて、23時間でぐるりと1周することができます。歩き始めてすぐに、鳥の楽園と呼ばれる所以を実感しました。すでにRakiuraTrackで鳥の気配に耳を澄ませる資質ができていたためか、数十mごとに鳥の姿に足を止める事態に…。日本野鳥の会メンバーかって…()
 Kaka
体長45㎝ほどになるオウム目インコ科のNZ固有種。絶滅危惧種に指定されています。
褐色の羽で覆われていますが、腹回りや翼の下面は赤い羽毛が生えています。雑食性で、嘴を使って上手に木登りをしながら、木の皮の下に住む昆虫やその分泌物、花や果実、種子を食べてます。主にペアで行動するが、非繁殖期には群れを形成することもあるそうな。

Tui
スズメ目ミツスイ科。人家の近くでもフツーに見つけられる鳥です。遠目ではただの黒い鳥に見えますが、よく見ると玉虫色に輝く毛艶の良い鳥です。花の蜜を吸うため、嘴は長く下に曲がっています。特徴は、首元の2つの白いボンボンと、その鳴き声。声量豊かに様々な声色を聞かせてくれます。目立つ鳴き声が示す通り、縄張り意識の強いやや攻撃的な鳥でもあるようで、絶滅危惧種の鳥だろうがおかまいなしに追っかけまわるちょっとKYな子です。

Kakariki(Red-crowned Parakeet)
オウム目インコ科。体長30㎝弱の細身の体ですが、あざやかな緑色の羽毛に、額の赤い色がよく映えます。木の実や土の中の虫を食し、巣も木の低い位置に作ります。かつてNZ全土に分布していましたが、人に狩られたり外来生物に捕食されたりで、その数を激減させ、絶滅危惧手前の危急種に指定されています。キキキという甲高い声で鳴き、マオリの例えで”Kararikiの巣のようだ”とは、ゴシップ好きのうるさい集団を指したりするそうな。

Torea(Black oystercatcher)
チドリ目ミヤコドリ科。写真が見にくくてすいません。その名の通りカキを食べてるのか知りませんが、主食は貝類やカニなどの小型甲殻類。長くて硬い嘴で殻を割って食べます。砂浜に巣をつくり卵を産むので、歩くときは要注意ですね。全世界的に見られる鳥ではありますが、個体数は1万羽前後まで減っていると言われており、北米では保護活動が始まっています。NZではまだまだのんびり暮らしているご様子でした。

Toutouwai(Stewart Island Robin)
スズメ目オーストラリアヒタキ科。スズメほどの小さな鳥。絶滅危惧種。ネズミなどが増えてしまったスチュワート島から、2000年に20羽がこの島に放たれ、手厚い保護活動の甲斐あって現在では200羽以上が生息しています。人のすぐそばまで寄ってきて、つぶらな瞳で見つめてくるかわいい奴です。というのも、人の踏んだ土から出てくる虫を食べるため。ちなみに、この仲間であるSouthland Robinは、クイーンズタウン内でもよく見かけます。


Korimako(Bellbird)
スズメ目ミツスイ科。NZのほぼ全土に生息する体長20㎝弱の鳥。その名の通り、よく通る高い声を聞かせてくれます。NZ最初の入植者キャプテン・クックも”まるで最も精巧な小さな鈴の音を聞いているようだ”と書き残しています。一時期、森林の伐採などで数を減らしたようですが、なぜだか近年はまた回復傾向にある、とWikiに書いてありました(笑)。


Stewart Island Weka
ツル目クイナ科。和名はニュージーランドクイナ。体長50㎝前後、Kiwiと同じで飛べない鳥です。褐色の羽と、地上生活に適した頑丈な脚を持ち、1㎞程度だったら泳げてしまうそうです。草地や藪を住処とし、昆虫や他の鳥の卵や雛を食べちゃったりもします。
写真は、まだ子供のウェカですね。灰色のフカフカな羽毛が体を覆っています。


Tieke(South Island Saddleback)
スズメ目ホオダレムクドリ科。黒い羽毛の背中部分だけが、saddle(馬の鞍)のように茶色いことが名前の由来。1900年初頭にはNZ本島から姿を消し、唯一の生息地Big South Cape Islandにも1960年代にネズミが入り込み絶滅の危機に瀕しましたが、素早い保護活動のおかげで難を逃れ、現在は19の島々で700羽ほどが確認されています。(危急種に準ずる準絶滅危惧指定)頑丈な嘴で木の皮を剥ぎ、その下の虫を食べます。飛ぶのはあまり上手ではなく、枝から枝へとジャンプして移動することがほとんど。
Kereru(New Zealand Pigeon)
ハト目ハト科。体長50㎝ほどに成長し、真っ白な腹側の羽毛と、緑~紫に輝いて見える背中側の羽毛とのコントラストが美しいです。主食は木の実。かなり大きな実を食べることができる唯一の鳥で、森にとって重要なサイクルの一翼を担っています。準絶滅危惧に指定され狩猟が禁止されていますが、Maoriの人々は伝統的に行ってきた生活を続ける権利を主張し、対立していると言います。


鳥たちだけでなく、生えている草木もNZ固有種の貴重なものばかり。恐竜より昔の時代からほとんど姿を変えていないもの、すでに絶滅したMoaという大型の鳥による捕食から逃れるためにひたすら背を高くしていったものなど、日本の山ではお目にかからない景色が次々と…。キョロキョロしすぎてトラックを何度も踏み外しました。。。
で、その名の通りの場所にあるWest End Beachで、澄み切った海を眺めながらランチタイム。

帰り道で、あれは絶対にKiwi!という後姿を目撃。写真は撮れなかったですが、ちょっとご紹介。
Tokoeka(Stewart Isaland Brown Kiwi)
キーウィ目キーウィ科。ニワトリ程度の大きさに成長します。夜行性で視力が弱く、昼間は樹の洞などに隠れ、夕方以降に餌を求めて歩き回ります。嘴の尖端に鼻孔があり嗅覚を頼りに昆虫や果実などを探して食べています。オスが巣作りや子育てをすることから、ニュージーランドでは家事に協力的な夫をキーウィ・ハズバンド (Kiwi Husband) と呼んだりもします。
Kiwiと一口に言ってもいくつかの亜種に分かれており、それぞれに生息数が異なります。この島のKiwiの仲間は2万羽ほど確認されており、危急種の指定を受けています。

*マオリの寓話*
ある日、森の王タネ・マフタは森の中を歩いていた。彼の子である木々はとても病んでいるかのように見えた。地面で暮らす虫たちによって食べられていたからである。あまりにも深刻そうであったため、彼は兄であり、空の王であったタネホカホカにこのことについて相談をした。「このままでは森が死んでしまう」と。
これを聞いたタネホカホカは空に住む鳥たちを一堂に集め、地上に降りて虫を食べて森林を守ってくる鳥を募った。 しかし、どの鳥も口を開くことはなかった。そこで、彼はテュイ、プケコ、ピピファロロアらに順に事を頼んだ。しかし、彼らはそれぞれの理由を述べ、彼の要請に応じなかった。そこで彼はキーウィに頼んだ。するとキーウィはこの王の要請に応じた。「参ります」と。
二人の森と空の王はこれにとても喜んだ。そこで、彼らはキーウィに確認をした。元来、キーウィは美しい羽毛、翼を持っていた。だが、地上で暮らすにはその翼を失い、強靭な脚をもつ必要がある、と。それでもキーウィは「参ります」と言った。これに対しタネホカホカは次のように述べた。「君の大いなる犠牲によって、君は森の中で最も愛される鳥となるだろう」
こうして、キーウィは今のような姿となり、王の要請に応じなかった鳥たちはそれぞれ罰を受けることとなった。

その昔、1872年にこの島に郵便局が建てられ、50年ほど機能したことがあるんだそうな。というのも、当時Paterson Inletの北岸に散在した製材所からこの島がよく見えたため、不定期にスチュワート島を訪れる運搬船の到着を一斉に知らせるのに適していたからとか。島には、この郵便局の建物跡(新たに家が建てられており、島の中でここだけが私有地になっています)や、到着を知らせるために旗を挙げていたポイントなどが残っています(右の写真)。 この郵便局の最初の職員だった男が筋金入りのナチュラリストで、彼の先見の明と尽力のおかげでこの島の自然がここまで守られた、みたいなことが書いてありました。

童心に帰りつつ、同時に心の奥底までリラックスすることができました。いい時間だった~。 

午後のフェリーでBluffへ戻り、Invercargillのバッパーに宿泊です。なぜか、エジプト仕様の部屋(笑)

2013年10月14日月曜日

Rakiura Track 2

Day2Port William HutNorth Arm Hut 13km6 hours
 海岸線を行くルートから外れ、この日は多雨林の中を南下していきます。初めこそ晴れ間がのぞいたものの、途中からパラパラと雨。何度かぬかるみに行く手を邪魔されながらアップダウンを超えていきます。とは言え、最高地点は300m程度とたかが知れているはずなんですけどね。。。冬の間、山を下ることしかしてなかった鈍りきった体で10㎏の荷物を運んていくのは重労働です。しかし、力強い木々の存在感、時の流れを感じさせる苔むした倒木、複雑かつ絶妙な均衡を保つ森林の姿に圧倒されまくりです。生えている主な樹木はRimuKamahiという種類。どちらもNZ固有種です。道中には、製材業が行われていた時代の名残りが所々に残っていたりもしますが、鉄の塊ですら、この森の中では却ってひ弱に見えてきます。

降ったりやんだりの雨の中、ちょっと先を急いだためか、5時間程度で次のHutに到着。キャンプサイトや海辺を散策して、気持ち悪いほど群生するムール貝やシカと思しき足跡を発見してはしゃいだり、再びトランプに興じたり。。。空腹に耐えかねたところで、本日はパスタのディナー。きれいな空気と景色も絶妙な調味料です。このHutは、ハーフムーン・ベイからの1泊トランピングや、さらにここから南下していく10日近いコースの中継地点でもあり、そこそこの人の入りです。

食後は、サンドフライ(体長12㎜ほどのブユのような虫。刺されると強烈な痒さ!!)と闘いながら、昨日のHutからのメンバーでSunset鑑賞。普段は気付かずに過ぎていく時間が、こういう場所だときちんと自分のそばで刻まれていることを感じられます。贅沢な時間ですね。

 

 
 
 
Day3North Arm HutFern Gully 11㎞、4hours

その日の昼過ぎのフライトでInvercargillに戻るというMac達を見送るためにちょっと早起き。そのおかげできれいな朝焼けを拝むことができました。
最終日は、Paterson Inletの北岸を東に進むルート。海岸線を臨んだり山に入ったりのジグザグ道ですが、昨日ほどのアップダウンはありません。出発から雨だったので、やや速足での行軍です。RimaKamahiの原生林、森中に響く鳥の声。そして、過去の製材業の痕跡。この辺りは19世紀前半には既に捕鯨船が寄港していたようですが、1861年に製材所が開かれてからはそれなりに賑やかだった時代があるそうです。
 
スノーボードの疲労が残る左膝をかばいながらの歩行がたたり、右足がつる寸前に・・・。が、3時間ちょっとでトラックを抜け、久々のアスファルト道を町まで戻ります。DOCで無事の帰還を報告していたら、雨がどしゃ降りに。逃げるようにバッパーに戻り、何はともあれ3日ぶりのシャワー()。この気持ちよさは、ちょっと比較対象が見つからないですな。近くのカフェで名産のひとつBluecod(トラギス科の白身魚)を食べ、夜はビールを飲み、人間らしい生活に戻った感触を心行くまで味わいました。

食後のお散歩に、Observation Rockへ。ジャストタイミングでSunsetを拝み、最初のGreat Walks終了☆